梅花女子大学 児童文学科・こども学科同窓会Salut!

第10回あたらしい創作絵本大賞審査結果

 第7回あたらしい絵本大賞

大賞作品は、出版されます。
あたらしい創作絵本大賞は、こどものためのロングセラー絵本を創作する人を発掘していくコンテストです。

たくさんのご応募ありがとうございました。
第10回あたらしい創作絵本大賞・表彰式と合評会のご案内 自由に参加いただけます。
各賞の審査結果は以下の通りです。

大賞
「ひっついた!!」 きど まや

プロフィール
1991年、大阪府生まれ。梅花女子大学大学院修了。
2017年に『イヌのクニャン』で絵本作家デビュー。
絵本やイラストやりんごくんを描いたりしています。
2017年7月『イヌのクニャン』(ジーグレイプ)出版
2018年『ダスティーさんのすてきなくらし』(守田整理収納建築研究所)発行
『ムギちゃんのパン』(株式会社オートバックスセブン)発行
https://joiekuz.wixsite.com/mayakido

受賞コメント
このたびは、大賞に選んでいただきありがとうございます。
この作品は、実際に猫の鼻にトカゲが引っ付いている写真を見て、思いついた作品です。
ネコとトカゲの奇妙な共同生活を、わいわいと声を出しながら楽しんでいただけると嬉しいです。
下絵は2年ほど前に出来上がっていましたが、着彩に自信がなくそのままにしていました。
この賞を目標に一念発起し、ようやく描きあげることができました。ですから、この賞を頂けて本当にうれしく思っています。
まだまだ未熟な私ですが、2冊目、3冊目と絵本を描き続けられるよう、これからも創作活動に精進していきたいと思います。
本当にありがとうございました。

■優秀賞
「まんまるちゃん」たかはし けいこ


佳作 5作品
佳作「キミ、ボクノナマエシッテル?」いもむし
佳作「ひとりでおふろ」くちいし みやこ
佳作「へっちゃらゴリラ」しもかわ もとき
佳作「エスカレーター」まえだ ゆうき
佳作「ふつうの絵本」おおはし まさのり


■最終選考に残ったが選ばれなかった作品
「なかよしさんのおまじない」福本 恵子

作品選考の際には、審査を公平にするため、作者プロフィールは確認せず、作品のみを読んで審査しています。

審査員総評(50音順)

長野ヒデ子
今年も応募作品を楽しみに応募作品を見せていただきました。1次選考通過された作品はどれもみなそれぞれの持ち味があり、そのよりぬかれた作品の中からまた、たくさんの作品を落していくのは選ぶ方も胸が痛い。どの作品もいろいろな思いを持って創作されたのだろうなあと思うと、そのものあたりも作者にインタビューしたほどです。

大賞の「ひっついた!!」は実に面白い。物語後半の「なぜ流行していく」というストーリーに、インパクトのあるおもしろさが欲しかった。そこが少し物足りない。うちの猫が蛇をよく捕まえてきた。「猫に髭が」とびっくりしたことがある。よく見ると「ひげが動いている!あっ蛇だ!」とあのときのことを思い出させる絵本でした。優秀賞「まんまるちゃん」もアイデアが面白かった。耳がもっといろいろ展開していく面白さがほしかった。でもいいアイデアだね。佳作のなかで、いちおしの作品は「ふつうの絵本」でした。絵が面白い。描きあがる過程も垣間見えて、普通でないところがいい。「へっちゃらゴリラ」も面白いが歌が普通で、言葉に新鮮さがたりずおしいなあ。「エスカレーター」は実に新鮮で面白いですね。「ひとりでおふろ」も、かわいい発想と、うなりましたが、完成までの仕上がり途中という感じで、もうひとつ欲しい、何かがたらない。

選に漏れましたが、私はとても気に入っている作品は、福本恵子さんの「なかよしさんのおまじない」です。素直で何気ない日常を丁寧に絵本にしていて、おばあちゃんの役割もよくできている。私はとても完成度が高い作品と思いましたが、他の審査員たちからは、「新しさがない、よくある話だ」との評で落ちました。よくある話、当たり前の話、ありふれたテーマでも私はいいと思います。でも、その切り口が、かつてない新鮮さがあることが大事なのです。それが足りずおしかった。福本さんの作品は、今後に期待したいです。いえ福本さんだけではありません。このことは他の選に漏れた方にも通じることでおしい作品はいっぱいあります。

めげないで、更に推敲して完成度を上げ、もう一度取り組んで仕上げてください。私たちもラフの段階で何度も、何度もやり直して作品に仕上げていくのです、今後もどうかいい作品に仕上げて応募ください!まっています。

入選するということは実に並大抵のことではないのですよ! 更に精進して創作の中から見えてくる自分自身に向き合うことこそ実にすばらしい贈り物となります! がんばって!


みやざき ひろかず
多くの作品が、絵に比べてストーリーに物足りなさを感じました。絵本ってこういうものだという思い込みがあるのでしょうか? もっと本気で自分の強い思いを込めてほしいです。
大賞の「ひっついた」は、ナンセンスなおはなしと美しい水彩が、独自の世界を作り出しています。いくつか疑問の残る場面はありますが、全員一致で大賞に決まりました。「キミ ボクノナマエシッテル」は、絵がとても魅力的。主人公が、ややありがちなビジュアルなのと、おはなしも新しさがないのがもったいないです。「ひとりでおふろ」は独特な楽しさがあります。もっとその世界を発展させてほしい。「へっちゃらゴリラ」は絵が素敵です。テーマへの答えが、すこし安易に思えます。「エスカレーター」は着想が、とてもおもしろいです。そのおもしろさを最後までもっともっと広げてほしかった。「ふつうの絵本」はユニーク!で、とてもこころ惹かれる世界があります。未完成なのが惜しいですね。


宮下 恵茉
記念すべき第10回あたらしい創作絵本大賞におきまして、多数の審査員が評価した『ひっついた!!』が大賞に輝きました。おめでとうございます!絵本をしっかり研究した上で創作されたんだろうなというのがひしひし伝わる作品でした。優秀書に選ばれた『まんまるちゃん』の作者は、第9回でも優秀賞を受賞されていました。かわいらしくて目をひくイラストでとても好感が持てました。

ただ、今回は全体的に小粒な作品が多く、「この中だったらこれかな?」という消去法的な選出だったように思います。

どの審査員も共通して口にしていたのは「ストーリーのまずさ」についてでした。毎年指摘していますが、絵は上手でも『ストーリーが平凡すぎて既視感がある』もしくは『作者だけがわかっていて読者が置いてきぼりになっている』という作品が多いです。ぜひたくさんの絵本を読んで何がまずいのか研究してみてください。


創作絵本大賞 事務局
第10回は、おかげさまで、応募数は昨年より増えました。しかし、最終選考に残る作品が、昨年よりも少なくなってしまったのは残念でした。
「子どもに教えてやる」という作者の思いが、感じられる作品が多かったように思います。「作者の思い」がない作品より、ある方がいいのですが、盛り込み方が、まずい作品が多かったです。お説教調の作品ではなく、また、大人の上から目線のメッセージでもなく、子どもと同じ立場にたち、作者の伝えたいテーマが、物語の裏側にかくれて、しみじみと伝わる作品を求めています。

主催:梅花女子大学
共催・運営・事務局:アミーニ、梅花女子大学児童文学科・こども学科同窓会
協賛:株式会社未来屋書店

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